海の外のよさこい事情

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よさこいの研究をしていたということもあり、未だによさこい論文の収集を続けている私です。
まだまだよさこい論文は出ているんですよ~体育や音楽など教育の分野が多いですが、私に関連する社会学系統の論文も出ています。
(注:私の専門は地理)
私のここ最近のヒット作は、上智大の渡会環さんが書かれた「YOSAKOIソーランが繋ぐ『ブラジル』と『日本』」という論文です。
南山大の浅香先生がまとめられた多文化共生の本の一章になっているこの論文。
元々学部時代は国際関係の学科にいたのでその他の章も楽しく読めるのですが、この章はかなり読み込んでしまいました。
・ブラジルの日本文化協会、日本語学校などの日系団体が舞踊のレパートリーもしくは運動会の出し物として導入
・きっかけは日系一世がリズムや音楽がブラジルに受け入れやすそう、もしくは日系三世・四世が日本文化に興味を持ち取り入れたとのこと
・札幌で広まった時期に導入されたからか、現地では「YOSAKOIソーラン」あるいは「YOSAKOI SORAN」と表記されるとのこと
・現在、サンパウロには55ほどの団体があるそうな
・ビデオテープが先生代わり
というのが簡単な概略です。
ブラジルでは、
・躍動的な動き
・現代的な舞踊
・ソーラン節などの日本的伝統
このあたりが受けたらしい。
私の興味は上記までのことではなく、以下のような点に大変関心を持ちました。
・日本の要素のみならず、ブラジルの要素も取り入れる
・参加者は日系人のみならず、多人種も気軽に受け入れる
・そもそもブラジルの日系人社会では日系人だとかイタリア系だろうが、○○人という考え方はあまり意味をなさないらしい
・よさこいはブラジル社会に溶け込むためのツールとして使われているといったほうがよさそう
・よさこいの「起源」を追及して演舞を作る方法とよさこいのイメージをブラジル文化の中の延長線上で作るという2つの方法が考えられるが、いずれかの方法に絞っているわけではなく、両方を行ったり来たりしている
・よさこいを通じて日本ーブラジルの2つの文化の中に日系人の文化(日常文化)を混合させることができると認識
なるほど。
現在、各地で日本のチームのみなさんがよさこいを披露されていますが、これは海外への広まり方としては今までになかった形ではないでしょうか。
こういう形で海外のよさこいの広まりを研究されている方がこれまでいなかったので、大変新鮮な論文です。
日本の社会の中でもいろいろ考えさせられるな、と個人的には思いました。
ちなみにこの論文、「地球時代の多文化共生の諸相」という本の中におさめられている論文で、近場だと国立国会図書館で読めます。
国会図書館に行く機会があれば、ぜひ。

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