よさこい研究者の私が見る視点・「拡大」と「凝集」

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よさこい研究者と名乗る私。
もちろん、大学・大学院とよさこい研究をしてきたというのもありますが。
大学院を修了してからもよさこい研究に関わっているため、継続してよさこい関係の文献を読んでいます。
よさこい研究の論文は書籍ではほとんど出ておらず(「ドリよさ」の実行委員長・扇谷さんなどが出されている自伝的なものは除く)、大抵は雑誌などに掲載される研究論文の形で世に出ています。
よさこい関係の論文で多いのは、教育の場でよさこいを取り入れたものや舞踊的側面から見た論文です。
でも、私の研究と共通する、コミュニティ形成やネットワーク形成についての論文も年に1,2本ぐらい世に登場します。

先日、久しぶりに(5年振り?)国会図書館へ行ってきました。
日本で発行される大半の書籍が所蔵されている国会図書館。
研究論文の所蔵もトップです。
私はここ数年で所蔵されたよさこい論文をチェックし、5本の論文をコピーしてきました。
この中には、
・仙台のチーム「聖和学園短大 和敬」さんに参加する学生さんの意識調査(元々短大のゼミからできたチームなんだそうで、執筆は世話人をしている短大の先生)
・下関&北九州と県をまたがり開催「関門よさこい祭り」の創出と祭りの維持について
・「YOSAKOI-SORANブラジル大会」の日系人社会ネットワーク形成(この研究、超やりたかった…)
など、マニアックな研究の数々。
よさこいはブラジルの日系人社会のネットワーク形成にも一役買っているそうですよ。

中でも注目すべきは、よさこい研究界でも金字塔というべき、よさこい研究で博士論文を書かれた、名古屋大の矢島さんの論文!
昨年、博士論文を加筆修正した本を出版されたので、国会図書館で読んできました(1冊約9000円するのです…)。
矢島さんは札幌を中心に、高知、仙台みちよさ、名古屋どまつりと大規模なお祭りで地域社会・文化の伝承やネットワーク形成について、民俗学の視点から論文を執筆されています。
有名なのは、札幌の「新琴似天舞龍神」さんと北海道開拓史(屯田兵)の関係性を描いた論文かな。

矢島さんの論文の中でも注目すべきポイントは「拡大」と「凝集」。
拡大とは規模の拡大もあれば、参加チームの移動やチームの多様性など様々な参加形態があり、参加者は選択できること。
しかしそれだけではなく、地域を表象するものを取り入れ(曲に地元の民謡が入っているなど)、地域住民の参加など地域社会に新たなつながりを生み出していること。
外側に向くエネルギーと内側に向くエネルギーと、この2つがあって祭りを維持することができる、そんなようなことが書いてありました。
それを一言でいうと「拡大」と「凝集」かぁ。
私には思いつかない発想…。

私自身は大学での研究を離れ既に10年強が経過していますが、よさこい論文を通して新たな分析視点を手に入れ、どう社会に活かしていけるか。
よさこい研究をお祭りや実社会に活かすという志を掲げた私は、そんなことを考えながら日々よさこいのお祭りと研究に向き合っています。
まだ直接実際のお祭りで活かすところまで至れていませんが、ここを覗いてくださった方が地元のよさこいのお祭りに活かす、そんな場になったらいいなと考えているところです。

これからもSummyはよさこいのお祭りと地域を追い続けます!

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