私は日頃から「よさこい研究者」と名乗っていますが、これは大学・大学院とよさこい研究をしていたからです。
修士号までよさこい研究で取りました。
現在は別に大学等での活動はしていませんが、研究者っぽいことをしているという点で「よさこい研究者の書いた論文を読む」(以下「よさこい論文」)ということは長年続けています。
そのため、たまによさこい論文を取集するというのを行っています。
今回はよさこいオフシーズンということもあるので、よさこい論文について書いていこうと思います。
(今回はお祭りの当事者や振付師などの方が書かれた書籍などは除きます)
よさこい論文の良いところは、当事者ではない第三者が書いていることが多いので、客観的な視点で書かれていることが多いこと。
(多いこと、と書きましたが、当事者を兼ねていることも中にはあるので、たまに客観的視点になっていない論文もあることに注意)
私も基本的によさこいを見に行くときには第三者視点になっているのですが、それは学生自体に鍛えられた部分が大きいかと。
実はよさこい論文と一口にいっても、書かれた方の専門や興味関心によって内容は様々です。
私がこれまで見てきた限り、よさこい論文のジャンルとしては以下のものがあります。
- 学校や保育の現場(学校教育)でよさこいを取り入れたときの実践報告
- 踊りや音楽、衣装など、芸術的、実務的観点から分析
- 地域の歴史などを踏まえて、民俗学的視点から分析
- その他
この中でよさこい論文の量として圧倒的に多いのは1.です。
よさこいの場合、ただ踊るだけでなく、自分たちで振付を作るとか衣装を自作するとか他の要素が入ってくる場合が多いので、総合的学習の観点から分析されているのかなと思います。
みなさんが一番イメージしやすいのが踊りや音楽を分析したものだと思いますが、それ自体は論文がたくさん出されているわけではないです。
その次の地域の文化や歴史などを合わせて書かれているものが多いかなと思います。
上記の代表的な例が札幌の「新琴似天舞龍神」さん。
北海道開拓の歴史を演舞に取り入れてらっしゃいますが、論文では取り入れたことでの地域の変化がどうなったかという観点で書かれていたりします。
私自身は地域でよさこいを取り入れたことによる地域内外の人的ネットワークの変化が専門なので、実はドンピシャな論文はそれほどないのですが。
でも、地域でよさこいが取り入れられたことによる変化は記載のある論文が多いので、その辺を日頃から参考にしています。
じゃあ自分もよさこい論文を見てみたい…。
という方もいるかもしれません。
が、実はよさこい論文は入手が難しい…。
近所の図書館で見れる…場合はまれだと思ってください。
ましてや大型の本屋にもほぼありません。
というのも、書籍になっている場合はほぼなく、いわゆる論文集の中の1本として入っていることが多いからです。
- 各大学発行の論文集
- 専門分野ごとの査読雑誌(各分野に精通した先生方が読み、掲載を許されたもののみ載る雑誌)
だいたいよさこい論文はこの2種類の中に入っています。
これらを多く扱っており、一般の方でも見れる場所は
- 国立国会図書館(京都の関西館でもそれなりの量を扱っていますが、量が多いのは永田町の東京館)
- 都立中央図書館(東京・広尾)
の2か所…。
トップの写真の論文は国会図書館で取ってきた論文コピーでした。
じゃあ中々よさこい論文は見れないのか…。
と思ったら、最近書籍(とkindle)で出ていたので最後にご紹介します。
それは高知大の川竹先生が出された「よさこいは、なぜ全国に広がったのか~日本最大の交流する祭り~」。
よさこいがいかに全国、そして世界に広まっていったのか、そして「交流する祭り」となっていったのかが書かれています。
川竹先生ご自身が札幌や三重でよさこい祭りの立ち上げに関わっておられる方なのですが、複数のお祭りに関わっておられるので偏っていないのが良いところかと。
また、この本自体が先生が一般教養科目として高知大で教えておられることをまとめたものなので、よさこいの全体像をつかみたいという方にもおすすめできるかと。
というわけで、たまにはよさこい研究者として、今回はよさこい論文をご紹介しました。